日記

ひとつきの隣人

投稿日:2020年5月19日 更新日:

私が前座時代に住んでいたアパートは2棟あって、私が住んでいた方の棟は1階が2部屋、2階が2部屋の計4部屋でした。私がいたのは1階です。斜め上の部屋には後輩の入船亭ゆう京が住んでいました。

一時、私の隣の部屋が空き部屋になってました。つまり1階は私のものでした。別に隣の部屋を使えるという訳ではないのですが、壁の薄いアパートにおいて隣人がいないというのは気が楽なものです。

しばらくすると、隣の部屋におばあさんが引っ越してきました。私の1階天下も終了です。ただ、この風呂もない過酷な環境におばあさんが引っ越してくるのも不思議なものだと思い、大家さんに会った時にちらっと聞いてみると、詳しくはわかりませんがどうやら訳ありのようです。

おばあさんとは越して来た時に少し話しただけで、あとは挨拶する程度の関係でした。1週間後くらいに廊下でばったりとおばあさんに会いました。おばあさんが「こんにちは、ここって壁が薄いわね」「あ、すいません。私の部屋うるさかったですか?」「そうじゃないの、上の部屋の人がなんかぶつぶつ言ってるの。なんか気味が悪くて」「そうですか。それは気味が悪いですね」「そうなのよ、なんか大家さんに聞いたらラクゴをやる人が住んでるらしいの」「へー」「なんとかならないかしら」「あの、私も落語家です」おばあさんすごい顔されてました。

一ケ月もしないうちにおばあさんは引っ越しされました。おばあさんごめんなさい、隣と上の部屋に落語家がいるとは思わないですよね。

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