日記

柳家圭花のこと

投稿日:

 私が好きな噺家のことを書いていきます、何の許可も得ていないので、主に二つ目の仲間について書きます。師匠方のこと書いて怒られるのはイヤなので。柳家圭花は私の1~2年後輩の噺家です。風貌は「先ほど出所してきました!」という様子です。常に坊主頭で背は高く痩せ型なので、おそらく空腹の果ての食い逃げで捕まっていたのでしょう。その風貌とは裏腹に学生時代はサッカーがとても上手かったらしいです、なんかの代表に選ばれる程なんか上手かったそうです。

前座時代はそつなく何でもこなす人で、大きなしくじりをした所は見た事ありません。前座の時のことで思い出すのは、鼻水を垂らして、真っ赤な顔してるのに「風邪じゃないです」と言い張ってたことです。何回かそういうことがあったのに決して風邪を認めません。元気な小三くらいに風邪を認めません。それどころか「風邪をひいたことがない」と言ってました。とても強情です。

彼はSNSを一切やりません。ですから、ネットの情報でしか落語家を見ていない人には、あまり知られていないかもしれません。話はそれますが、本やネットの「おすすめの落語家」なんというものに惑わされちゃあいけません。自分の価値観と相談するのが一番です。みんなが好きなものを自分が好きとは限りませんので。特に落語なんというマイナーゲームで人と足並み揃えてもしょうがないです。

では、私がなぜ圭花が好きかというと、自分ができないことができるのです。私達は落語家という商売をしています、自分の趣味嗜好とは関係なく商売に徹する場面が多くあります。例えば、地方に行ったら分かりやすい落語をやったりします。圭花はそんなことしません。地方で『樟脳玉』やります。『樟脳玉』という落語知っている人少ないと思います。私だって良く知りません。そういう珍品を当然のごとくやる人なのです。「どう?珍しいでしょ?」という感じでもないのです。普通にやるのです。しかも、圭花はそれを地元の同級生の前でやったりします。一度、産婦人科の仕事で赤ん坊とお母さん達の前で『高田馬場』やってるの見たことあります。お客さんにおもねるということをしないのです。寄席で「分かりやすいのがいいですよね」と言って『狸釜』やってました。もしかしたら、お客さんに合わせないのではなく、ただの狂人かもしれません。

どちらにせよ、私たち落語家の多くが右左と選ぶところを、彼はためらいもなく真っつぐ行くのです。そこには絶対に風邪を認めようとはしない強情さとは違う、清々しさのようなものを感じるのです。

-日記

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

ジャニーズに入るかのように

 よくジャニーズの人がジャニーズに入ったきっかけを聞かれた時に「お姉ちゃんが勝手に履歴書送って」とか言いますよね。私の場合うちのカミさんが あ、このお店アルバイト募集してる。君の履歴書を勝手に送ってお …

サボテンの花を咲かせる祖母

 動物に好かれる人がいるように、植物に好かれる人っていますよね。私は植物に嫌われています。サボテンをいくつ枯らしたことか。しっかりとお世話をしても花を咲かせたことはありませんでした。  亡くなった祖母 …

no image

大須という町は上野と浅草と秋葉原を足して台湾でかき混ぜたような町だ①

 大須演芸場に一週間行ってきました。大須演芸場は月の初めの7日間興行です。大概二つ目の枠は3.4日で交代ですが、今回私は一週間丸々入れていただきました。7日間滞在した噺家は今までいなかったようで、私が …

美智先生の志ん朝師匠の話

美智先生ゲストの「古今亭を知ってもらおう」永久保存版だと思ったので、箇条書きでトークまとめました。永久保存版と言いつつ10日間しかみられないのでお早めに!   ①古今亭の色物第一号 ②志ん朝師匠と美智 …

ありえない寝言蒐集家

 カミさんのありえない寝言を蒐集する仕事をしている古今亭志ん松でございます。カミさんはっきりと寝言を言います、会話もできる特殊能力を持っています。ひとつずつ紹介していきます。 見せつけないとね、日本の …

落語入門 はてなの落語

出演情報